簡単なバックアップの手順を知ってリスクを回避しよう!

簡単なバックアップの手順を知ってリスクを回避しよう!

 

1.バックアップ用プラグイン「BackWPup」とは


Webサイトを運営・管理していく上で、もっとも重要な事柄の一つに「定期的にバックアップを行うこと」があります。デジタルデータは非常に便利なものですが、紙で記録された資料とは違い、何気ないミスでデータが一瞬で消えてしまう可能性もあります。そうしたリスクに備えておくために何らかの方法でバックアップをとる必要があるのです。

WordPressで構築したWebサイト上のデータをバックアップするには様々な方法があります。そんな中でオススメなのがプラグインを使った方法です。そこで、今回はそうした中でも人気の高い「BackWPup」という、定期的に自動でバックアップができるWordPressプラグインついてご紹介します。


WordPressで構築されたWebサイトのバックアップには、大きく分けてファイルデータのバックアップと、データベースのバックアップがあります。ファイルデータというのは、画像、動画、音声などのメディアや、プラグイン、テーマなどのことです。一方で、データベースとは、複数で共有・利用することを前提として、検索や加工することを目的に整理されたデータ群のことです。このデータベース上の情報量は膨大なので、自動でデータを管理(追加・更新・削除など)システムが必要になってきます。ブログなどのようにサイトに訪れるごとに表示内容がかわるサイトを動的サイトと呼びます。この動的サイトを構築するにはデータベース管理システムが必要となり、WordPressではMySQLという非常に実用性が高く非商用であれば無償で利用可能なオープンソースのプログラムを採用しています。そして、このファイルデータとデータベースの両方を簡単にバックアップできるプラグインが「BackWPup」なのです。以下に「BackWPup」の主な特徴をまとめました。

「BackWPup」の特徴のまとめ

1.自動バックアップのスケジュールは、ユーザー側で自由に設定することが可能です。また、手動でのバックアップも行えます。

2.記事、カテゴリ、コメント、管理画面の設定などMySQLデータベースのバックアップと、画像ファイル、テーマ、プラグイン、WordPress本体など、サーバー上にあるファイルをバックアップできる。

3.バックアップ保存先の選択肢が、フォルダーへのバックアップ、メールでのバックアップ送信、FTP接続で外部サーバー、Dropboxなどオンラインストレージサービスなど、様々な方法に対応している。

4.数年前までは英語版のみであったが、日本語にも対応しているので、管理画面が使いやすい。

それでは早速それぞれのバックアップ方法について確認していきましょう。

2.ファイルデータのバックアップ方法

最初にファイルデータのバックアップ方法を説明します。

2-1:新規ジョブを追加


「ジョブの名前」については、ユーザー側で管理しやすい任意のものを入力しましょう。今回は、あくまで設定例の一つとしてそれぞれの項目を紹介します。ここでは、ファイルデータについてのバックアップ設定なので「ファイルのバックアップ」にチェックを入れ、ジョブ名は「File backup」としておきます。


アーカイブ名については、特に細かな設定を必要としないのであれば、デフォルトで表示される内容のままで問題ありません。西暦や日時によるバックアップファイル名が作成されることになります。変更が必要な場合は「置換パターン」を参考にしてアーカイブ名を設定しましょう。


バックアップデータは、それなりに大きなサイズになりますので圧縮して保存されます。そのアーカイブ形式は、4つのタイプから選択できます。WindowsユーザーはWindowsでよく使われる圧縮形式である「Zip」を、MacintoshユーザーはMacOSなどUNIX 系 OS で多く使われる圧縮形式である「Tar GZip」を選択することをオススメします。


バックアップファイルの保存先には「フォルダーへバックアップ」「メールでバックアップを送信」「FTPにバックアップ」「Dropboxにバックアップ」「S3サービスにバックアップ」「Microsoft Azureにバックアップ(Blob)」「Rackspaceのクラウドファイルにバックアップ」「SugerSyncにバックアップ」といった方法から選択できます。ログの送信先メールアドレスは、サイト管理者のEメールアドレスを設定しておきましょう。「メールでバックアップを送信」を選択する場合、データ容量が大きいとエラーになって送信されないので、迷った場合は、画像のように同じサーバー内に保存先ファイルを作って格納する「フォルダーへバックアップ」を選択しておくと良いでしょう。

2-2:スケジュール(実行日時)


ジョブの開始方法は、自動バックアップを行いたい場合「WordPressのcron」を選択します。cronとは、ジョブを自動で実行するためのデーモンプロセス(OSにおいて主にバックグラウンドで動作するプロセス)です。


スケジューラーの種類については、通常の運用であれば「基本」を選択します。スケジューラーは「毎月」「毎週」「毎日」「毎時」という4つのタイプから選択できます。ファイルのデータは、ローカル上にも元データを保存しているケースが多いと思いますので、ここでは「毎週」を選択し、時間帯はアクセスが少ない曜日や時間帯を設定しておきます。今回は日曜日の3時をバックアップをとる日時として設定します。

2-3:バックアップ対象


バックアップするフォルダーに関しては、基本的にすべてデフォルト設定のままで大丈夫です(上記画像はサンプルです。設定項目の全ての内容が含まれているわけではありません)。

2-4:バックアップ保存先


バックアップ先のフォルダー名はデフォルト設定で入力されているもののままでも構いませんし、管理者が任意で設定してもかまいません。「ファイルを削除」は、バックアップデータを保存する数です。スケジューラーで、毎週バックアップデータが1つ作成される設定しましたので、何週間前までのデータを残すべきか検討してみましょう。1ヶ月が4週と考えれば、12で3ヶ月となりますので、特に保存期間を意識しないのであれば、3ヶ月前後の値で設定しておけば良いかと思います。

2-5:ジョブの実行とダウンロード


バックアップのジョブ設定が終わり「変更を保存」すると「今すぐ実行」という項目が出てきますので、正しくバックアップが行えるかどうか確認してみましょう。ここで、エラーが出てしまう場合は、ジョブの設定をもう一度チェックするか、他のプラグインの設定やWordPress本体の設定を確認する必要があります。


バックアップが実施されると、上記のようなタスクの進捗状況がわかるプログレスバーが表示されます。バックアップデータの容量が大きければ時間がかかる場合もありますが、動画等のサイズの大きなファイルに含まれてなければ、それほど時間は要しないかと思います。エラーが発生したらバーのメーターに表示されるようになっていますので、終了後ログで内容を確認してみましょう。こちらも日本語化されているので、エラーの原因にもたどり着きやすいです。


サーバー上に保存する設定にした場合は、定期的にローカル上にもデータをダウンロードして保存しておくと、バックアップは万全です。サーバー上のデータが消えることは、非常に稀なケースですが、トラブルを解決しようとして誤ってサーバー上の全データを消去してしまうという事態も想定できます。毎回ダウンロードする必要はありませんが、大幅に内容を更新した際などは、ローカル上にもバックアップデータを保存しておきましょう。

3.データベースのバックアップ方法

次にデータベースのバックアップ方法を説明します。

3-1:新規ジョブを追加


次にデータベースのバックアップ方法を説明します。ファイルデータのバックアップ方法と同様の部分も多いので、ここでは追加で解説が必要な部分のみ説明します。データベースを保存したい場合は「データベースのバックアップ」と「インストール済みのプラグイン一覧」にチェックを入れておきます。WordPressはプラグインのインストールや更新でトラブルが発生することも多いので、プラグイン一覧をこまめに保存しておくこともリスクマネジメントにつながります。

3-2:スケジュール(実行日時)


記事の投稿やプラグインの更新は、頻繁に行われますので、更新頻度にもよりますがデータベースのスケジューラー設定については「毎日」を選択することを推奨します。

3-3:バックアップ対象


データベースのバックアップは、データサイズも大きくありませんので、WordPress初心者の方は、全ての項目をバックアップしてしまいましょう。プラグインに関しても同様です。(上記画像はサンプルです。設定項目の全ての内容が含まれているわけではありません)。


バックアップファイル名は、デフォルト設定のままでも、任意のものでも構いません。前述の通りデータベースのサイズは、ファイルデータのサイズと比較して、かなり小さな容量になりますので、圧縮は任意です。「なし」を選択しても問題ありません。

3-4:バックアップ保存先


バックアップ先のフォルダー名は、ファイルデータと同様にデフォルト設定で入力されているもののままでも構いませんし、管理者が任意で設定してもかまいません。フォルダー内に保持するファイル数についてはスケジューラーで「毎日」を選択しましたので、ここでは30日(1ヶ月分)を保存する設定にしましたが、このファイル数も任意ですので管理者の都合の良い期間(数)で構いません。

4.まとめ

Webサイトは単なるツールではありません。企業にとって有用な記事や顧客データなどを含み、資産であるという意識を持つことが今後ますます重要になってきます。また、サーバーの移転、Webサイトのリニューアルなどにおいても、バックアップデータの保存が重要になってきます。サーバーにFTP接続し、WordPressのフォルダごとダンロードしても保存はできますが、どれが最新のバックアップなのかわかるようにすることも含めて非常に手間がかかります。また、様々な機密データも含まれている可能性が高いので、バックアップ向けのサービスを利用ぜずに手動で保存すること自体、リスクを伴います。保存したバックアップデータの管理も細心の注意が必要になりますが、今回紹介したBackWPupを使って効率的にWebサイトのリスクマネジメントしていきましょう。

 

 

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