WordPressとは
WordPressとは
1.WordPressの概要
・CMSについて
・WordPressの普及とシェア率
2.WordPressのしくみ
3.WordPressを使用するメリット・デメリット
・Wordpressを使用するメリット
・Wordpressを使用するデメリット
4.まとめ
1.WordPressの概要
企業でWebに関連する業務を行っている方や、ブログ制作に興味のある方であれば、WordPressという名前を聞いたことがあると思います。このWordPressとは、オープンソースのブログ作成ソフトウエアのことでで、ブログ作成機能だけでなく、ウェブ上にあるテキストや画像などを管理したり配信に必要な処理を行うCMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)としての機能も備えています。
CMSについて
CMSとは、Webサイトを作成・運営するためソフトウェアのことで、テキストや画像などのWebコンテンツを統合・体系的に管理し、なおかつ配信など必要な処理を行うシステムの総称です。
Webサイトを構築するには、HTMLやCSSといったプログラミング言語を使用する必要がありますが、CMSでは、あらかじめ構築されたテンプレートのテーマを選択することで、サイトの構築や全体のデザイン変更を容易に行うことが可能です。従って、一からHTMLやCSSでプログラムを組まなくても、最新のトレンドやデザインと様々な機能を備えたWebサイトを構築することができます。こうした使い勝手の良さによって、2005年頃より一般的に普及したと言われています。
WordPressの普及とシェア率
CMSには、WordPress以外にも、Joomla、Wix、Movable Typeなど様々な種類がありますが、世界におけるCMSのシェア率で、WordPressは59.9%であり首位を独走しています。さらに、日本におけるWordPressのCMSシェア率は、海外以上に人気が高く84.2%もあるのです(*1:2017年12月時点)。
以前は、セキュリティ面に問題があるとして大手企業のWebサイトには不向きと言われていたWordPressですが、バージョンアップを重ねることによってそうした面が改善され、現在は多くの大手企業で採用されています。一例をあげると海外では、メルセデスベンツ、ニューヨークタイムズ、Forbes、日本では、博報堂、オリエンタルランドグループ、クックパッド、カカクコム、松屋フーズ、三井住友建設、主婦の友社、ヤマサ醤油、早稲田大学といった企業・団体・メディアの公式サイトでWordPressが導入されています。記憶に新しいところでは、米国トランプ大統領就任後、ホワイトハウスのウェブサイトがリニューアルされた際にWordPressが採用されたことが話題になりました。こうした動向の中で、今後もWordPressの利用率が高くなっていくことが予想されているのです。
(*1)参照URL
Usage of content management systems for websites
Distribution of content management systems among websites that use Japanese
Whitehouse.gov Moves From Drupal to WordPress in CMS Shift
2.WordPressのしくみ
ブログの作成と聞いてアメーバブログ、FC2ブログ、はてなブログ、LINEブログなどのレンタルブログサービスをまず思い浮かべる人も多いでしょう。こうしたレンタルブログサービスとの違いを知ることで、もう少し深くWordPressを仕組みを理解してみましょう。
ブログを作るには、大まかに分けて3つの選択肢があります。1つ目は、プログラミングを行って自力で一から作成する方法、2つ目はレンタルブログサービスを使う方法、3つ目はWordPressなどのCMSを使う方法です。
HTMLやCSSによって作成したページがそのまま表示されるサイトが静的サイトと呼ばれるのに対して、常にデータベースを参照し、アクセスする度に表示されるページの形が変わる可能性があるブログのようなサイトは動的サイトと呼ばれます。こうした動的サイトを構築するにはHTMLやCSSといった言語以外に、PHPやJavascriptといった言語も用いなければいけません。1つ目の自力でブログを作成する方法は、これら複数のプログラミングコードの知識が必須になるのです。また、記事の更新は、FTPソフトを使ってテキストや画像をサーバーに転送しなければいけません。
これに対して、2つ目のレンタルブログサービスを利用する方法は、ブログの作成・運用にコードの知識は必要ありません。また、記事の更新はブラウザで専用の管理画面にログインして行うので、こちらも専門的な知識は必要ありません。しかし、カスタマイズの自由度は低く、テーマのテンプレートは豊富に用意されているサービスもありますが、そのテンプレートをさらにカスタマイズするといったことは基本的に想定されていません。
そして、3つ目のCMSを使ってブログを作成する方法は、難易度やカスタマイズの自由度が、自力で作成する方法とレンタルブログサービスを利用する方法の中間にあり、両方の良い所どりといったイメージで捉えると分かりやすいでしょう。
(WordPressの管理画面)
WordPressは、PHPというプログラミング言語を使用して構築されており、ブログの記事の内容や更新情報は、MySQLというデータベース管理システムを採用しています。ブラウザがブログにアクセスすると、PHPが反応し「このURLであれば、この記事を表示させればいいのだな」と理解します。それからMySQLというデータベースに保存されている投稿記事の情報を取得し、その情報をもとに投稿ページのHTMLを作成しブラウザに表示させるのです。こうした動的サイトのシステムがWordPressには、すでに組み込まれているので、PHPやMySQLといった高度なプログラミングの知識がなくてもブログの作成・運用が可能になるのです。カスタマイズは、HTMLやCSSの基本知識を身につけていれば、かなり自由度の高いサイト構築が可能です。また、運用や更新についてはレンタルブログサービスのように専用画面から簡単に行えます。
3.WordPressを使用するメリット・デメリット
WordPressを使用するメリット
1.無料でシステムを使うことができる
WordPressは基本的に無料で利用できるサービスです。「無料で自由にカスタマイズできるブログを作成したい」「リッチなウェブサイトを構築したいけれども初期費用を抑えたい」といったケースでは、WordPressが最適な選択肢の一つであると言えます。
2.オープンソースで利用しやすい
ソースコードが無償で公開され、誰でも自由に使用・改変・複製・再配布することが許可されているオープンソースのソフトウェアなので、商用、個人での利用いずれにおいても利用しやすいという部分もメリットの一つです。
3.カスタマイズが容易である
プログラマーやWebデザイナーのように、HTML、CSSなどのプログラミング言語を使って一からWebサイトを構築する知識やスキルがなくても、一定の知識・スキルがあればカスタマイズを自由自在に行えます。また、ブログ形式のページ作成・更新ができるだけでなく、固定ページを設けることができるので会社概要や個人のプロフィールといったページを作成し、メニューに組み込むといったことも可能です。その他にも、掲示板、投稿フォーム、問い合わせフォーム、ギャラリー、人気の記事一覧、ECサイトなど様々なウェブサービスを提供することもできます。また、記事やカテゴリーごとにデザインを変えたり、サイドバーのレイアウトを変更したりすることも簡単に行なえます。
4.デザインテンプレートが豊富に揃っている
Webサイトのデザインには常にトレンドが変化していますが、デザインが古臭いサイトは信用性も低くなりがちなので、定期的にリニューアルをかけていくことが重要になってきます。そうしたリニューアルがテンプレートの変更で簡単に行えるのもWordPressの魅力です。サードパーティー製のオシャレでかっこいいテンプレートが豊富に揃っているので、お気に入りのデザインや、サイトのテーマや企業イメージに合ったデザインを見つけやすいというメリットがあります。テンプレートは一部有料なものもありますが、大半が無料で使用可能です。有料のテンプレートも、プレミアム版が有料で、通常版は無料で使用可能といったものが多いので、工夫次第でデザインにかかるコストも最大限に抑えられるのです。
(WordPressのテンプレート選択画面)
5.プラグインが豊富に揃っている
豊富なプラグインが揃っているのもWordPressの魅力です。プラグインとは機能を拡張するプログラムの一種のこと。ロールプレイングゲームに例えると、テンプレート選びがキャラクターメイクで、プラグインがアイテムにによるキャラクター強化といったイメージでしょうか。TwitterやFacebookといったSNS関連のウィジェット、シェアボタン、SEO対策、セキュリィティ対策など様々な機能がプラグインで追加可能です。このプラグインの使用についても、専門知識は基本的に必要ありません。使いたいプラグインを探し、インストール後、有効化するだけです。
(WordPressのプラグイン選択画面)
6.ユーザーが多いためWordpressに関する情報も多い
WordPressは、前述の通りユーザー数が圧倒的に多いので、WordPressに関する書籍も数多く刊行されています。また、WordPressと目的のキーワードを一緒に検索すれば、沢山のウェブサイトがヒットするので、情報収集をし易い点にも、他のCMSと比べて大きなアドバンテージがあるのです。さらに、WordPressを使用した企業サイトの成功事例なども見つけやすいので、それらを参考にアイデアを練るといったことも容易です。
7.SEO対策がしやすい
企業のWeb担当者が最も頭を悩ませる問題の一つにSEO対策があります。WordPress自体が、SEOに強いツールという訳ではないのですが、自由にコンテンツマネジメントができるので、SEOに関する知識のある人が、記事の編集や更新を行えばSEO対策も十分に効果を発揮できるツールであると言えます。GoogleがWordPressサイトのページ表示速度の向上に本格的に取り組み始める、GoogleドキュメントからWordPress.comに記事を投稿できるようになるといった動向も伝えられていますので、GoogleもWordPressのシェア率の高さに注目しているということが伺えます(*2)。
(*2)参照URL
WordPress.com now lets you write and collaborate in Google Docs
The need for speed: Google dedicates engineering team to accelerate development of WordPress ecosystem
WordPressを使用するデメリット
1.普及しているだけにセキュリティ面に不安がある
普及率が高いということは、それを悪用しようとする人間も多いということを意味します。Webサイトを作っただけで、そのまま放置したり、全く知識のない状態でカスタマイズを行ったりすれば、外部から攻撃されたり、乗っ取られてしまうリスクも高いのです。
2.本格的な運用には専門知識が必要。かえって製作・運用コストが高くつく場合もあり
WordPressは、テーマ一覧を使う場合は確実に初期コストを抑えられます。しかし、オリジナルデザインにする場合は、かえってコストがかかる場合もあるので注意が必要です。企業サイトでは、テンプレートを使用せず一からテーマを構築する必要性のあるケースもあるかと思います。この場合、Web制作会社に制作を依頼することになるかと思いますが、制作会社に一からデザインを頼んだ場合、専門知識がないとブログ投稿以外の更新や運営が困難になってしまい、結局のところ外部の手を借りなければいけない状況に陥ることも有りうるのです。また、不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策が必要である、サーバー・データベースのメンテナンスが必須である、システムのバージョンアップが頻繁にあるといった側面も考慮しなければいけません。加えて、SEOに強いWordPressですが、SEO対策自体はサイト運営者自身で行う必要があります。
3.サーバー、ドメインは自分で準備する必要がある
無料で利用できるWordPressですが、サーバーとドメインは自分で準備する必要があります。無料のサーバーやドメインもありますが、いつサービスがストップするかも分からない不安定なサービスであり、制限も多いので本格的なサイト運用を考えている方にはお勧めできません。
4.サポートがメールのみである
WordPressには電話によるサポートがなく、メールのみの対応になっています。不具合が起きても、知識がない場合はすぐに解決できないので、その点は留意しておきましょう。日本で人気の高いCMSの一つにMovable Typeというソフトウェアがあります。これのソフトは有償になりますが、電話によるサポートがありますので、手厚いサービスを求めるのであれば、そちらを選択するのも良いかもしれません。
4.まとめ
(日本のWordPress公式キャラクター)
このようにWordPressを利用すれば、コストを抑えつつ、高性能なWebサービスや最新のWebデザインを手に入れることが可能になります。そのためには、ある一定の知識やスキルを身につける必要があるのですが、<h1></h1>といったタグ付け方、WebフォントやWebカラーの知識といった基本事項を理解しているだけでも、十分にカスタマイズやSEO対策が可能です。また、WordPressの日本語版もかなり機能が充実してきており、プラグインなどで一部英語が必要になりますが、大半は日本語による操作で作業が遂行できます。ちなみに、日本のWordPressには「わぷー」という公式キャラクターが存在し、多くのユーザーに親しまれています。こうした部分からも、日本におけるWordPressの人気の高さが伺えますね。